フルフィルメントサービスの意味とは？導入のメリット・デメリットや選び方を解説します

ECサイトや物流業界で話題の「フルフィルメントサービス」。日本語で「履行」「遂行」という意味ですが、実際にどのようなことをするサービスなのか、ご存じでしょうか。本記事では、フルフィルメントサービスの内容を紹介。あわせて、メリット・デメリット、利用に向いている企業、フルフィルメントサービス代行業者を選ぶポイントを解説していきます。

フルフィルメントサービスとは？

「フルフィルメント」は英語で「Fulfillment」と書きます。日本語では「履行」「遂行」という意味で、ECサイトや物流業界では「顧客が商品を注文してから受け取るまでに発生するトータルの業務のこと」をいいます。具体的には「商品の発注」「顧客からの問い合わせ・クレーム対応」「商品の梱包」「商品の発送」「商品の配送」「商品の仕入れ」「納品」「検品」「在庫の管理」「返品処理」「入金管理」「代金の回収」「返金処理」などの業務があります。ただし、「商品の企画」「ECサイトの設計や構築」「顧客獲得活動」「顧客情報の分析」といった業務はフルフィルメントには含まれません。

フルフィルメントはバックヤード業務になります。裏方で目立たないことから、あまり重要な業務ではないと思う人もいるかもしれません。しかし、いくら商品の質が良くても、なかなか顧客の手元に商品が届かなかったり、トラブルが起きたときに丁寧に対応しなかったりすると、顧客は離れていってしまいます。顧客の心をつかみ、リピーターになってもらうためにはフルフィルメント業務は大切なのです。そして、これらの業務をきめ細やかに行なうにはノウハウやリソースが必要になります。

自社がノウハウやリソースを持っていない場合は、フルフィルメント代行業者に頼むほうがよいでしょう。最近では、フルフィルメントサービスを提供する代行業者が増えてきました。自社に合った代行業者を見つけることかできるでしょう。こうした業者にフルフィルメントサービスを依頼すると、ECサイトの運用を始めたばかりであったとしても、スムーズな運用が可能になります。また、業者にはすべての業務を依頼しなくてもよく、自社の希望に合わせて、業務の一部のみの代行でも問題ありません。

フルフィルメントサービスのメリット＆デメリットとは？

フルフィルメントサービスのメリットは主に3つあります。1つ目は、固定費を大幅に削減できることです。顧客からの問い合わせ・クレーム対応を行うためには、コールセンターを設置する必要があります。また、商品の梱包・発送を行うには倉庫で管理しなくてはなりません。それなりのスペースが必要になります。そのため、コールセンターや倉庫の家賃が毎月かかってしまうのです。また、コールセンターや倉庫で働く人たちの人件費も必要です。さらに、働きたい人を集めて、スムーズに業務を行えるようにするためには求人広告費や教育費もかかります。せっかく集めた従業員の離職率を下げるためには、モチベーションアップのための施策も必要になります。しかし、フルフィルメントサービスを利用すると、こうした家賃や人件費といった固定費は削減されます。求人広告費や教育費もかかりません。離職率を下げるための工夫に時間を割く必要もなくなります。フルフィルメント代行業者に売上に応じた変動費を支払いさえすればよいのです。その結果、ECサイトの損益分岐点が下がるため、利益が出やすくなるのです。

2つ目は、顧客に商品を届けるまでの流れがスムーズになることです。フルフィルメントサービスを代行してくれる業者はプロです。ノウハウもリソースも豊富です。そのため、スムーズに業務を行うことができるのです。例えば、顧客からのクレーム対応に関する自社のリソースやノウハウが足りない場合、顧客の怒りを鎮めることかできません。場合によっては、さらに怒りが増幅する可能性があります。そのようなときは、顧客のクレーム対応だけでもフルフィルメントサービス代行業者に発注することをおすすめします。滞りなく対応することができ、顧客の満足度も上がることでしょう。商品の発送業務や商品管理に関しても同様です。自社で対応できない部分を業者に任せればよいのです。

3つ目は、コア業務に集中できることです。ECサイト運用にとって、一番大切なのは売上に直結するマーケティング戦略や商品の企画に関する業務です。そのため、物流作業に割く時間をマーケティング戦略・商品企画に回したいと考えているECサイト運用者は多いでしょう。フルフィルメントサービスを利用することで、本来のマーケティング戦略・商品企画といったコア業務に集中することができます。

一方、フルフィルメントサービス導入のデメリットは主に3つあります。1つ目は、ノウハウが蓄積されないことです。アウトソーシングで業務を代行してもらっているため、いつまで経っても自社でフルフィルメント業務にかかわる人材を育てることができません。フルフィルメントサービス代行業者への依頼をやめてしまうと、自社で業務を行なうことができなくなってしまうのです。自社を大きくするためには、人材育成が大切になります。業者に依頼しながらも、自社でもノウハウを蓄積できる仕組みをつくるようにしましょう。

2つ目は、顧客と直に接する機会がなくなることです。顧客からの問い合わせやクレームもアウトソーシングしてしまうと、顧客と話す機会が失われてしまいます。たとえクレームであったとしても、顧客の生の声はマーケティング戦略や商品開発に大切です。クレームから商品の欠点が分かり、よりよい商品が生まれる可能性があるからです。フルフィルメントサービス代行業者からECサイト運用者に顧客の声を届ける仕組みをつくっておく必要があります。

3つ目は、サービスを利用するための料金がかかることです。すべて委託するほうがよいのか、それとも一部のほうがよいのか、ムダな出費が出ないように費用対効果を考えるようにしましょう。また、商品によっては季節によって売上が変動することもあるでしょう。売上に応じて料金が変わるほうがお得な場合もあります。料金体系が成果報酬型なのか、定額型なのかも重要なポイントになるでしょう。どちらにしても、どのぐらいの費用がかかるのか、あらかじめ見積もりを取ってもらうことをおすすめします。

フルフィルメントサービスに向いている企業とは？

フルフィルメントサービスが向いている企業には主に2つの特徴があります。1つ目がECサイトの運用を始めて間もない企業です。フルフィルメント業務はプロセスが細分化されており、軌道に乗せるためには時間もかかります。いざECサイトを始めたものの、顧客への対応がスムーズにいかないと業務に支障をきたしてしまう可能性があります。自社で何もかも行いたい場合でも、慣れないうちはフルフィルメントサービス代行業者に業務全般を頼むと良いでしょう。そして、少しずつ自社で行っていくというのも一つの手です。

2つ目は、ECサイトが本業ではない企業です。例えば、実店舗での販売がメインで、ECサイトでの販売がサブの企業もあります。こうした場合、ECサイトにかかわる業務は業者に代行してもらったほうが本業に集中できます。顧客にもよりよいサービスを提供することができるでしょう。

フルフィルメントサービスを選ぶポイントとは？

フルフィルメントサービス代行業者を選ぶポイントは主に4つあります。1つ目は、対応してほしい業務を行っているかどうかです。一口にフルフィルメントサービスと言っても、どのようなサービスが含まれているかは代行業者によって違います。例えば、配送のみで顧客対応まで行わないところもあるのです。また、企業側としても顧客対応は自社で可能であっても、配送までは手が回らない場合もあります。こうした場合は、配送のみ代行業者に頼むとよいでしょう。そのためには、自社で何ができるか、何ができないかをしっかりと把握してから代行業者を選ぶことが大切です。

2つ目は、料金が適正かどうかです。なかには、割高な料金を請求してくる悪質な業者もいるのです。こうした業者の餌食にならないためには、1社だけでなく、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。その際、何の料金なのか分からない項目に対しては、代行業者に質問することも大切です。納得したうえで依頼するようにしましょう。また、フルフィルメントサービスは何をどこまでやるかによって、料金が異なります。そのため、料金に見合ったサービスを受けることができるかどうか、あらかじめ確認するようにしましょう。

3つ目は、商品を管理する環境が適切かどうかです。商品の発送を行ってもらう場合、フルフィルメントサービス代行業者に商品を預かってもらうことになります。商品を管理する倉庫の環境が悪い場合、商品が劣化してしまう可能性があります。特に食品を扱っている場合は、信用問題にかかわります。あらかじめ倉庫に出向き、温度や湿度をはじめ、清潔かどうか、十分な広さはあるかなど、環境を確かめておくようにしましょう。

4つ目は、顧客へのサポート体制は万全かどうかです。フルフィルメントサービス代行業者が顧客と直に接することになります。顧客に対して、ぞんざいな態度は問題外ですが、サポートの質が良くないと顧客は離れていってしまいます。どのように対応しているのか、業者に質問をして把握しておくようにしましょう。また、顧客の声を直に聞くことは商品を開発するうえで大切なことです。顧客の声は業者で止めてしまわず、自社まで届けてもらうようにしましょう。例えば、顧客の声をレポートにして定期的に送ってくれるなどのサービスがあるかどうか、確かめておくとよいでしょう。

フルフィルメントサービスで売上アップのECサイトを運用しよう

フルフィルメントはECサイトを運用するうえで重要です。スムーズに顧客の元に商品を届けるためには、フルフィルメントサービス代行業者を活用するようにしましょう。その際、検討してほしいのが、成果報酬型ECサイト構築・運用サービス『ショップアシスト』です。10年以上のショップ運営実績に基づいた分析で、運用代行を行います。お気軽にお問合せください。