顕在層と潜在層の違い説明できる?わかりやすく解説
ECサイトの運営において、売上向上やユーザーエクスペリエンスの向上を図るためには、顕在層と潜在層の違いを理解し、その特徴をいかすことが不可欠です。
しかし、顕在層と潜在層がどのようなものか、その違いを説明できる方は多くないようです。
これらの概念をしっかりと理解し、違いが把握できるようになれば、より戦略的かつ効果的なアプローチができるようになるでしょう。
潜在層と顕在層の違いは?
「潜在」とは、表に現れずに内に潜んでいることを、「顕在」とは(物事や事象が)明確に形を成して存在することを意味します。
一見してわかるようにこれらの語は対義語であり、その意味は対照的であるといえるでしょう。
ですが、ECサイト運営などのマーケティング現場においては、顕在と潜在は対照的というよりも、未だ顧客となっていないターゲット層の段階を表すために用いられています。
ターゲット層は関心度や認知レベルによって「潜在層」「顕在層」「非認知層」の3段階に分けられています。
それぞれがどのような意味を持っているのか以下でみていきましょう。
潜在層
「潜在層」とは、特定のジャンルに対して興味や関心は見られるものの、具体的にどんな商品やサービスがあるかを認知できていない層を指します。
例えば、英語学習を続けているものの、学習を手助けする具体的なレッスンや教材を知らない方は、英語学習に関わる業界にとって潜在層であるといえます。
顕在層
顕在層は、潜在層と同じく特定のジャンルに対して興味や関心を持つ層です。
ただし、すでにある程度の情報を持っており、具体的に商品やサービスの情報を認知しています。
自分自身が求めているものを理解しており、商品やサービスの購入のために、比較検討に入っている段階です。
英語学習を例にするならば、自分にとって最適なレッスンや教材を見つけるために、価格・プラン内容・口コミといった要素を比較検討し、より詳細な情報を入手しようとしている段階です。
潜在層よりも購買意欲が明確で成約へと至りやすい層といえます。
顕在層と潜在層は、商品やサービスの情報についての認知度に違いがあるといえるでしょう。
なお、顕在層よりも関心や認知度あるいは購買意欲が高いと見られ、自社サービスを検討している層を「明確層(検討層)」として顕在層と分けて捉える考え方もあります。
非認知層
特定のジャンルに対しての興味や関心自体が薄い層です。
非認知層の方々は、仮に自社商品やサービスについてある程度知っていたとしても、自分たちには関係のないことだと感じています。
そのため、自社商品やサービスに対しての購買意欲自体が存在していないといえます。
この層を掘り起こす場合には、自社商品やサービスについてアピールする前に、関心や興味を持たせるための仕掛けを展開することが重要となるでしょう。
潜在層の特徴
潜在層には一般的に次のような特徴がみられます。
まず「解決すべき悩みや課題がある」ことです。
しかしながら、その悩みや課題は直近の問題とはつながっていないため、積極的に解決する行動には出ていません。
使用する目的がないままに、独学で英語学習を続けている状態は、潜在層に含まれます。
学習中によくわからない部分があったとしても、使用目的がなければ焦ってその問題や課題に向き合う必要はなく、積極的に解決に向かう行動に移る必要性もないため、商品やサービスを検討する行動を起こしません。
潜在層は、検討行動を起こさないため、ニーズの掘り起こしができていません。
つまり潜在層は、「自身のニーズの自覚がない」状態にあります。
自社商品やサービスなどに興味を抱くことがあっても、具体的にどの商品が自分に必要なのか判断ができず、購買行動へとつながりません。
これはインターネットで情報を調べる際のキーワードにも現れます。
潜在層は「曖昧なワードでの検索が多い」という特徴を持っています。
潜在層の方の検索では、具体的な商品銘やサービス名に関するワードは、ほとんど使われません。
商品やサービスの存在を認知できているとはいえないので、これは潜在層における当然の帰結ともいえるでしょう。
一方で、自身のニーズを正確に把握していなということは「競合他社からのアプローチをまだ受けていない」という特徴を生み出します。
うまくアプローチが成功すれば、大きな顧客層として育つ可能性があります。
潜在層は顕在層に比べてブルーオーシャン状態にあるといえるでしょう。
また、顕在層に比べて母数が多いの、潜在層のアピールに成功すれば、自社商品やサービスを幅広く周知できます。
潜在層は「潜在顧客」とも呼ばれています。
これから顧客を増やしECサイトを成功させるには、潜在層を如何に引き入れるかが重要でしょう。
顕在層の特徴
顕在層もまた潜在層と同じく、「解決すべき悩みや課題がある」という特徴を持ちます。
この点が商品やサービスの情報を持った非認知層との大きな違いです。
ただし、顕在層は潜在層とは違い、悩みや課題を実際に解決する方法を探しています。
つまり顕在層は、「商品やサービスへのニーズが存在している」という特徴を持ち合わせているといえるでしょう。
商品やサービスに対するニーズの存在は、情報検索で用いられるキーワードにも影響を与えます。
顕在層の方の検索では、商品名やサービス名、あるいは悩みや課題の解決方法など、「具体的な検索ワード」が用いられるのが特徴です。
例えば、健康を意識して運動を始めようと考えている顕在層のユーザーなら、「運動・健康・ランニング」といったビッグワードだけでなく、「メーカー名・商品名」といったものが検索に多く使われます。
くわえて、口コミや評価などを調べる傾向が強く現れます。
潜在層のアプローチ方法
ECサイトを成功に導くためには、顧客となりそうな層に対して、適切なアプローチをかける必要があります。
潜在層へのアプローチでは、ディスプレイ広告が一般的です。
ディスプレイ広告は、主にウェブサイトやアプリケーション上で視覚的に提示される広告手法です。
テキスト・画像・動画・バナーなどを融合させ、商品やサービスを宣伝する際に利用されます。
これらのディスプレイ広告は、利用者の興味・関心、あるいは過去の行動履歴に基づいてターゲティングが行われ、特定のターゲットに向けた広告配信が可能です。
多くの場合、リターゲティング機能が充実しているので、ウェブサイト訪問者に対して、関連する広告の再表示ができます。
また、ディスプレイ広告は、クリック数・表示回数・コンバージョン率などのデータを通じて広告効果を評価。
その結果を用いて広告を最適化させ、より効果的な広告へとバージョンアップさせられます。
柔軟性が高い広告手法であるため、潜在的ユーザーに個別的にアピールしやすく、ニーズの掘り起こしに効果的です。
ディスプレイ広告にはさまざまな種類があります。
なかでも「記事広告」と「SNS広告」は潜在層へのアピールによく用いられている広告手法です。
それぞれどのような広告手法であるか、以下でみていきましょう。
#自然なアピールがポイント!記事広告で潜在層を刺激
記事広告とは、ユーザーに対して広告であることを感じさせないようにデザインされた、文章と画像で構成された広告です。
通常の広告とは異なり、特定のウェブサイトやプラットフォーム上において、コンテンツに合わせた形で表示されます。
上手な記事広告は、潜在層が持つ悩みや関心を掘り起こし、ニーズの存在をユーザーに気付かせてくれますよ。
また、記事広告は広告主が自社や商品のサービスをさりげなく伝えるだけでなく、ユーザーエクスペリエンスの向上も期待できるでしょう。
記事広告を成功させるポイントは、宣伝であることを感じさせない「自然なアピール」をすることです。
潜在層に属する1人1人に対して「自分の事」として問題提起を投げかけることが大切です。
そのうえで、適切な解決策を提示し、自社のサービスや商品へのアピールとつなげなければなりません。
よくできた記事広告は、潜在層へのアピールのみならず、購入行動への誘因までを一手で担えます。
そのため、多くの企業が潜在層へのアピールに記事広告を活用しています。
#ソーシャルメディアで拡散が期待できるSNS広告
SNS広告は、Instagram・Facebook・X(旧Twitter)といったソーシャルメディア上において行われる広告です。
ソーシャルメディアユーザーに対して、ターゲットされた広告を表示することで、商品・サービス・ブランドなどの認知を向上させることが期待できます。
SNS広告の強みは、細分化した配信ターゲットにダイレクトにメッセージを届けられることです。
狙ったペルソナを持つ者に対してピンポイントにアピールできます。
さらに、ユーザーとの双方向のコミュニケーションも可能なので、宣伝臭が少ない広告を配信することが可能です。
また、SNSにはコメント・シェア・いいねといった機能があるため、情報が広く拡散します。
誰もが興味を持つような広告を掲載できたなら、一日のうちに世界中に広告が広まるかもしれませんよ。
顕在層のアプローチ方法
顕在層は、自ら情報へアクセスしているため、潜在層とは違ったアプローチ方法をとることが求められます。
代表的なアプローチ方法では「リスティング広告(検索広告)」と「リターゲティング広告(リマーケティング広告)」が挙げられます
#リスティング広告(検索広告)
リスティング広告(検索広告)は、ウェブ検索時に一覧で表示される、テキスト型の広告を指します。
キーワードを設定することで、そのキーワードで検索するユーザーに対して、ピンポイントに広告を表示できます。
顕在層へのアピールでは、購入に至るまでの後押しが大切です。
特定のターゲットに対して、競合他社よりも自社の優位性を伝えたり、お得な購入チャンスであることをダイレクトに強調できるリスティング広告は、顕在層へのアピールに非常に効果的な手法となります。
#リターゲティング広告(リマーケティング広告)
リターゲティング広告は、以前に自社のウェブサイトを訪れたユーザーに、サイトを離れた後も継続的にディスプレイ広告などを表示する広告手法です。
購買意欲が高まっている顕在層は、自社の商品やサービス以外にも、複数の競合他社の商品やサービスを比較・検討しています。
そのため、一度のサイト訪問で直ちに購入に至ることは極めてまれです。
他のサイトを閲覧中にも自社の広告を提示し、製品のメリットをアピールすることで、最終的な購買へと誘導できるでしょう。
ECサイトを成功させるには?違いと特徴を理解して適切にアプローチしよう
ECサイトの運営を成功させるには、顕在層と潜在層の関心度や認知レベルの違いを理解し、各々の特徴に合ったアプローチをすることが重要です。
潜在層には柔軟性が高いディスプレイ広告が効果的です。
一方、顕在層はクロージングにつながるリスティング広告とリターゲティング広告がよいでしょう。
これらのアプローチによって、潜在層から顕在層へスムーズに移行を促せられれば、より効果的なECサイト運営が可能となるでしょう。