インフルエンサーマーケティングでのECサイト売上UP方法
需要が高まっているECサイトは大きなビジネスチャンスであり、新しくサービスを立ち上げる事業者も少なくありません。
競合他社が増えているこの業界で生き残るためには、効果的なマーケティングで売上を伸ばすことが重要です。
マーケティングにも様々な手法が存在しますが、ECサイトと相性が良いものに「インフルエンサーマーケティング」が挙げられます。
今回はインフルエンサーマーケティングの基本的な知識をまとめてみました。
インフルエンサーマーケティングとは?
まず始めに、インフルエンサーマーケティングという言葉の意味や具体的な手法などを紹介します。
インフルエンサーマーケティングの概要
インフルエンサーマーケティングとはSNSや配信・動画投稿サイトで活動している「インフルエンサー」と呼ばれる人たちに依頼して、商品やサービスをPRしてもらうというマーケティング手法です。
一般的にインフルエンサーは活動者の中でもとりわけ有名で、発言の影響力が大きい人のことを言います。
インターネットデバイスが普及して消費者が手軽に情報を入手できるようになった昨今では、商品を購入する際に利用者の口コミを参考にする人が多くなりました。
そこで影響力の大きいインフルエンサーに商品を利用した感想を発信してもらい、多くの人へ効率的に商品の魅力を知ってもらうというのがインフルエンサーマーケティングの基本的な考え方です。
なお、インフルエンサーは活動プラットフォーム上でのフォロワー数に応じて以下のように呼称が分かれています。
▶︎ フォロワー100万人以上 --- トップインフルエンサー
▶︎ フォロワー10万人~100万人未満 --- マクロインフルエンサー
▶︎ フォロワー1万~約10万人 --- マイクロインフルエンサー
▶︎ フォロワー1万人程度まで --- ナノインフルエンサー
市場規模について
インフルエンサーマーケティングの注目度は年々高まっており、市場規模の拡大も続いています。
2022年に日本のソーシャルメディアマーケティング企業の「株式会社サイバー・バズ」と、リサーチ企業の「株式会社デジタルインファクト」が合同で調査を実施しました(「2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」https://www.cyberbuzz.co.jp/2022/11/post-1791.html)。同調査によると、日本におけるインフルエンサーマーケティングの市場規模は2020年が約332億円だったのに対して、2022年には約615億円と2倍近くまで拡大しています。
同調査ではインフルエンサーマーケティングは今後も右肩上がりの成長が予想されており、2027年には約1302億円規模になるであろうと結論付けられました。
人気のプラットフォーム
インフルエンサーはそれぞれが自身の活動場所として様々なソーシャルメディアプラットフォームを利用しています。
各ソーシャルメディアには独自の特徴があるため、インフルエンサーマーケティングにおける向き不向き・得手不得手があるので留意しておきましょう。
インフルエンサーマーケティングによく用いられているのは「YouTube」「Instagram」「TikTok」「X(旧Twitter)」などです。
YouTubeは比較的長時間の配信や動画投稿が可能なため、利用している姿を映像で見てもらいたい場合や細かい魅力までしっかり伝えたい場合に適しています。
Instagramは画像投稿に強みがあり、写真映えする商品をPRしてもらうのに有用なプラットフォームです。
若者向けのPRであれば、短い動画にBGMや演出を付けて投稿できるTikTokが効果的と言えるでしょう。
トレンドに乗った話題性の高い商品は、情報拡散力の高いX(旧Twitter)のインフルエンサーにPRしてもらうのがおすすめです。
インフルエンサーマーケティングのメリット
インフルエンサーマーケティングのメリットには、一般的に次のようなものが挙げられます。
アプローチ先をターゲティングしやすい
インフルエンサーは自分の趣味嗜好や得意分野を活動内容に反映しており、フォロワーの趣味嗜好もインフルエンサーとマッチしていることが多いです。
例えば美容に興味があるユーザーは化粧品などを紹介している美容系インフルエンサーに、グルメ好きなユーザーならおいしいお店や商品を食べてレビューしているグルメ系インフルエンサーをフォローするでしょう。
つまり、PRを依頼するインフルエンサーを選ぶ段階で最終的にアプローチしたい客層をターゲッティングしやすいのです。
趣味嗜好の多様化が進んでいる現代社会において、マーケティングのターゲットは正確に見極めることが求められます。
インフルエンサーマーケティングはこの点で大きなアドバンテージを持っていると言えるでしょう。
レビュー内容を信用してもらいやすい
一般的な商品PRでは企業が直接CMを打ったり広告を展開しますが、宣伝目的であることが前面に出ているため消費者も流し見しがちです。
基本的に商品の良いところばかりをフォーカスした内容になるため、人によっては「嘘くさい」という印象を抱くこともあるでしょう。
インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーが消費者目線でレビューしてくれるので、「いかにも宣伝」といった雰囲気が出にくいです。
また、基本的にフォロワーはそのインフルエンサーのことが好きで普段のコンテンツを見ているため、例え企業案件だったとしてもレビューを信じてもらいやすくなります。
ECサイト事業と相性が良い
インフルエンサーマーケティングはソーシャルメディアマーティングの一部であり、基本的にインターネット上のコンテンツを利用したアプローチ方法です。
したがって、インフルエンサーの広告を見る人も自然とインターネットをよく利用している人に絞られてきます。
普段からインターネットを活用している人であれば、ECサイトもよく利用しているというケースも珍しくありません。
普段はあまりECサイトを利用していなくても、インフルエンサーの広告をきっかけにECサイトで買い物をすることにあまり抵抗感は抱かないでしょう。
各ソーシャルメディアには商品ページやECサイトのURLが記載できるので、効率的に集客の導線を引くことができます。
インターネットではユーザーの行動をデータとして取得しやすく、インフルエンサーの広告によって注目度が高まればSEO対策にも効果が期待できるでしょう。
フレキシブルなアプローチが可能
インフルエンサーは個人で活動している場合もあれば、事務所に所属しているケースもあります。
活動場所も自宅やスタジオなど様々なため、それぞれの活動内容・事情・プラットフォームに合わせた依頼が必要です。
その点に関しても、インフルエンサーマーケティングには様々な手法があるので柔軟に対応することができます。
インフルエンサーマーケティングの手法として有名なものは以下の通りです。
▶︎ ギフティング: インフルエンサーに商品を贈って利用してもらい感想をSNSに上げてもらう
▶︎ 現地訪問: インフルエンサーをイベント会場や店舗に招いてレポートしてもらう
▶︎ ライブコマース: 配信上で実際に商品を利用してレビューを述べてもらう
▶︎ コラボレーション: インフルエンサーと共同で商品開発やイベント企画を行う
▶︎ アンバサダー: 長期パートナー契約を結び継続的に商品やサービスの魅力をアピールしてもらう
インフルエンサーの上手な活用方法
ここではインフルエンサーマーケティングの効果を最大限に引き出すための活用方法を解説します。
依頼先を入念に選ぶ
インフルエンサーマーケティングを成功させるための第一歩は、商品のPRに適した依頼先を選ぶことです。
先に述べた通り、インフルエンサーが活動の場としているソーシャルメディアにはそれぞれ強みがあります。
したがって、まずはPRしてもらう商品と相性の良いプラットフォームを選定することが重要です。
そして、インフルエンサーの活動内容はインフルエンサーマーケティングのターゲットとニアイコールの関係にあります。
選定したプラットフォームで活動しているインフルエンサーの中で、活動ジャンルが商品にマッチする人を探しましょう。
ただし、相性が良ければすべてのインフルエンサーマーケティングが成功する訳ではありません。
インフルエンサーも毎日案件をこなしている訳ではなく、商品PRが上手い人もいればそうではない場合もあります。
インフルエンサーを上手に活用してマーケティングするには、商品の魅力を的確かつ自然にアピールできる人材を見極める必要があるのです。
インフルエンサーが過去に担当した案件をチェックする、普段の活動における行動や言動を参考にするなどしてみてください。
なお、過去に競合他社の商品紹介案件を行っているインフルエンサーは避けるのが無難です。
過激な発言や行動が目立つインフルエンサーも、炎上して商品のイメージダウンに繋がるリスクが高いので選択肢から外しましょう。
商品やサービスの内容をしっかり伝えておく
いくら商品PRが得意なインフルエンサーでも、事前情報や予備知識がなければ商品の魅力を隅々までアピールすることはできません。
インフルエンサーはあくまで外部の人間であり、一般消費者に近しい立場なのです。
インフルエンサーマーケティングを成功させるためには、まずインフルエンサー自身に商品のファンとなってもらえるよう努めましょう。
商品の細かい仕様・使い方・強みなどを予めしっかり伝えておくことが大切です。
また、良い面だけでなくウィークポイントや注意点も伝えておくようにしましょう。
マイナスポイントになるようなことでも、隠さずに伝えるとインフルエンサーや消費者からの信用度が上がる可能性が高いです。
インフルエンサー本人の言葉を重視する
インフルエンサーマーケティングが広告活動であることは事実ですが、企業が用意した台本を読んでもらうだけであればわざわざインフルエンサーに頼む必要はありません。
大切なのは「そのインフルエンサーが持つ魅力・影響力を活用する」ということです。
インフルエンサーも日々の活動を通じて自分の世界観や価値観を構築し、その魅力に惹かれた人たちがフォロワーとなっています。
台本に書かれた通りの言葉では、インフルエンサーの魅力が引き出せず「いかにもな広告」に映ってしまうのです。
もちろんある程度の段取りや進行を打ち合わせておく必要はありますが、商品の魅力を伝える言葉はインフルエンサー自身の裁量に任せましょう。
インフルエンサーマーケティングの注意点
大きな効果が期待できるインフルエンサーマーケティングですが、トラブル防止の観点から以下の点には注意しておきましょう。
ステマにならないよう管理する
インフルエンサーマーケティングにおいてまず注意しておきたいのがステルスマーケティング、通称ステマです。
通常、インフルエンサーマーケティングは企業からの依頼を受けたインフルエンサーが広告案件であることを明言するのが原則となっています。
しかし中には依頼を受けたことを隠して、あたかも自分が良い商品を見つけてきたかのように振る舞うインフルエンサーが存在するのです。
案件であることが外部から分からない(ステルス)であるため、ステルスマーケティングと呼ばれるようになりました。
ステルスマーケティングを行うインフルエンサー側のメリットは、フォロワー数を稼ぎやすいということです。
まだ話題になっていない商品を自分で発掘したかのように装えば注目を集めやすくなり、再生数や閲覧数が爆発的に伸びる「バズり」に繋がる可能性があります。
ステマが発覚すると「騙された」と感じたフォロワーや消費者がインフルエンサーを炎上させるケースが多く、ステマに使用された商品のイメージダウンにも繋がり兼ねません。
インフルエンサーマーケティングではインフルエンサーに依頼するだけでなく、実際の配信・投稿をチェックして問題が発生しないように管理することが大切です。
依頼コストに注意する
インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーへ仕事を依頼することになるため、当然費用が発生します。
コストの割に売上が伸びなければ赤字になってしまうため、コスト管理には十分注意しておきましょう。
一般的にインフルエンサーマーケティングの費用は、そのインフルエンサーが抱えるフォロワーの数で変動します。
プラットフォームによっても異なりますが、目安としてはフォロワー1人につき3~6円程度です。
影響力の大きいトップインフルエンサーに依頼すると数百万円の費用がかかることもあるので、予算とマーケティング後の売上予測を照らし合わせながら計画的に運用してみてください。
効果測定を工夫する
インフルエンサーマーケティングも他のマーケティング手法と同様に、事後の効果測定が大切です。
しかしインフルエンサーマーケティングによってどの程度の効果が生まれたのか判断が難しいという側面もあります。
正確な効果測定を行うためには、「認知獲得」「興味関心」「見込み顧客流入」「購買」「共有」などインフルエンサーマーケティングの目的を明確にして適切なKPIを設定することが求められるでしょう。
KPIを参考にPDCAサイクルを回して、より良いマーケティング活動に繋げてください。
インフルエンサーと良好な関係を築き、効果的なマーケティングを実現しよう
インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーの共同作業であり、お互いの信頼関係が重要な手法となります。
段取りの打ち合わせや商品情報の共有など、綿密にコミュニケーションを取って良好な関係を構築してください。
依頼先を選ぶ際は商品とプラットフォームの性質をマッチさせた上で、PRが上手なインフルエンサーを選定するのが基本です。
あくまでもインフルエンサーの言葉を尊重し、その魅力を発揮してもらいましょう。